納税者が生きようが死のうが知ったことか~容赦ない差押え
一度では払いきれない消費税の未納があり、少しずつですが毎月納付を続けていた納税者Y社がいました。決算を迎え、更に新たな未納額が生じてしまいました。税務署は、その納税者の資産状況を調べ尽くしたうえで、事業を続けるためには唯一と言っていい売上先A社に連絡し、売上代金を差し押さえようとしました。
税金の徴収に関する通達には、納税者の生活の維持、事業の継続に配慮すべきことが定められています。
しかし税務職員は、「ウチが潰れても構わないということですね。」という納税者の問いに、「そんなことは知らない。」と答えました。
その後の税務職員と私とのやりとりの概要は、
私「Y社が潰れても知ったことではないと言ったそうだが。」
税務署「そんなことは言いません。」
私「言われもしないことを言われたと、Y社の役員は言っているのか?」
税務署「(Y社が)潰れても構わない、という意図はありません。」
私「Y社の事業内容を十分調べていると思うが、A社の売上金を差押えられて事業を継続できる方法があるなら教えてほしい。」
税務署「・・・」
私「通達には、税金の徴収には納税者の生活の維持、事業の継続に配慮するように定められているが、通達を守った業務をしているなら、A社の売上を差押さえても別の方法でY社が事業を継続できると判断したと、説明できなければならないはずだ。」
🐝私の主張の根拠
🍯滞納処分の停止に関する取扱いについて(国税庁通達 事務運営指針)
🍯租税徴収の理論と実務(浅田久治郎著、246ページ)
税務署「私は法律に基づいて業務をしているだけです。」
私「では、法律ではない通達は守る必要はないということか?」
税務署「そんなことは言っていません。」
私「ではどのようにY社の事業の継続に配慮したのか?具体的にどのように経営していけば継続できるのか?」
税務署「私は経営コンサルタントではないので答えられません。」
私「それでY社に配慮した税務行政をしていると言えるのか?」
税務署「それは相手の受け止め方次第です。」
恥ずかしながら私の会話の進め方もお粗末に過ぎるのですが、機械的な自分の仕事のメンツさえ立てば納税者がどうなろうと知ったことではないという、役人の意識が露骨に表れていると思われませんか?
国は今の経済情勢ではあり得ない高利の延滞税率をかけています。納税者はそれもやむを得ないとして分割にしてほしいと言っているのです。
納税者の生活、事業など知ったことではないという容赦ない取り立てをするより、高利の延滞税をとりながら、納税者に事業を続けてもらい、少しずつでも納税してもらい、少しずつでも未納額を減らしていくようにしていくことが、国にとっても損ではないと思うのですが・・・