税務調査対策③~調査当日の心掛け
通常の税務調査は午前10時から始まり、税務署から調査先の事業所等までの所要時間にもよるのですが、調査官は午後5時には税務署に戻りたいと思っているようなので、概ね午後4時30分頃に帰る場合がほとんどです。
調査が始まる前に、必ず調査官の身分証明書と質問検査章を確認して下さい。
証明書にはその調査官の所属部門、検査章にはその調査官が調査できる税目(法人税、所得税、消費税など)が記載されています。特に検査章の確認は大切で、例えば調査できる税目が法人税であるのに、社長さん個人の税金(所得税)について調べようとしたときには、調査官に調査する権利は無いことを言わなければなりません。
調査はまず社長さんや事業主さんに対する聞き取りから始まります。社長さんや事業主さんの略歴、事業を興すに至った経緯、主な取引先、売上、仕入等の〆日、入金、支払の方法等について1時間程度聞かれます。「こんなことぐらい、税理士に聞いてくれよ。」と思われる項目もあると思いますが、調査最初の聞き取りは納税者本人にというのが原則ですので、すみませんがご辛抱下さい。
聞き取りで注意して頂きたいことは、
1 聞かれたことについてのみ、できるだけ端的に回答し、余分なことは喋らない。
2 全てのことに直ぐに応えようとせず、分からないことは分からないという。
ということです。
1について、こちらのお伝えの仕方が悪いのか、打合せで言っておいたはずなのに、必要以上に話をされる方がおられます。
例えばですが、
調査官「社長さんご趣味は何ですか?」
社長さん「ゴルフに結構行くね。」
調査官「どれくらいでまわられるのですか?」
社長さん「日によってムラがあるけど、最近100前後が多いな。」
調査官「そうですか。私も好きなんですけど、仕事に関係の無い友達と行くのが楽しいですよね。自分のことで恐縮ですが、この前学生時代からの友達と行ったらリラックスできたせいか、2回もチップインバーディーが出て、本当に気分良かったです。社長さんもそんなことは無いですか?」
社長さん「確かに友達とかの方が楽しい部分はあるかな。」
調査官「やはりお友達とも行かれますか?」
社長さん「それは行くよ。この前の連休中は2回行った。」
という会話があったとすれば、調査官は(よし、その連休中の経費を見てみよう。ゴルフ代が入っていれば事業に関係が無い友達と行ったものとして否認できるな。)と思うわけです。
この例でいえば、「趣味はゴルフ。スコアはいろいろ。友達とは行きたいけどお互い仕事で忙しく、めったに行けない。」程度の回答でいいのです。調査官が否認してきたとき、こちらも簡単には引き下がりませんが、不利になることは確かです。
2ついて、通常直近3年分について調査が行われるのですが、場合によっては3年前のことを聞かれます、きちんとした回答ができなくて当たり前のこともあります。あやふやな回答をするよりも。「分からない。忘れてしまった、できるだけ思いだして、後日回答する。」と応えて頂いた方が良いです。
聞き取りが終われば、最後まで調査に立ち会って頂く必要はありません。特に税理士を雇っておられる場合は税理士に任せ、調査官からの質問事項は、当日の現地調査終了時か後日、税理士を通じてまとめて報告させ、通常の業務を行って頂きたいと思います。長くなってしまい申し訳ありませんがお知らせしておきます。