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裁判所で その1

税務行政において、上位機関の国税庁から下位機関である税務署などに発令される税務運営方針や事務運営指針といった通達は、税務職員が守るべき規則で、概略として、その調査が任意調査である限り納税者の立場に立った調査を心がけるべき趣旨が定められています。

私が関係している税務裁判の法廷で、国税側から「方針や指針は税務職員が守るべきと思いますか?」と問われ、心底呆れました。国税に対しいろいろ発言すべきでしたが、私が思わず「守らなくて良いのですか。」と問い返すと、国税側が一方的に尋問を終わらせてしまいました。尋問内容もそれに対する私の回答も幼稚な法廷となってしまいました。

公務員には上司の命令を守る義務があると、国家公務員法は定めています。法廷での国税の尋問は、国税職員の義務意識の低さと納税者の立場に立った税務行政を行おうとする意識が無いことの表れのように私には思えます。

税務運営方針や事務運営指針は、税務職員に対する努力義務を定めたものであって(努力もしていないから、提訴しているのですが・・・)法令ではないから、法律違反にはならないと裁判でも擁護されていることがあるためか、自分たちの職務義務の遂行は放棄し、やりたい放題の調査をし、税金を徴収さえすればよいという調査が実在することに深い憤りを覚えます。


納税者が生きようが死のうが知ったことか~容赦ない差押え

一度では払いきれない消費税の未納があり、少しずつですが毎月納付を続けていた納税者Y社がいました。決算を迎え、更に新たな未納額が生じてしまいました。税務署は、その納税者の資産状況を調べ尽くしたうえで、事業を続けるためには唯一と言っていい売上先A社に連絡し、売上代金を差し押さえようとしました。

税金の徴収に関する通達には、納税者の生活の維持、事業の継続に配慮すべきことが定められています。

しかし税務職員は、「ウチが潰れても構わないということですね。」という納税者の問いに、「そんなことは知らない。」と答えました。

 

その後の税務職員と私とのやりとりの概要は、

私「Y社が潰れても知ったことではないと言ったそうだが。」

税務署「そんなことは言いません。」

私「言われもしないことを言われたと、Y社の役員は言っているのか?」

税務署「(Y社が)潰れても構わない、という意図はありません。」

私「Y社の事業内容を十分調べていると思うが、A社の売上金を差押えられて事業を継続できる方法があるなら教えてほしい。」

税務署「・・・」

私「通達には、税金の徴収には納税者の生活の維持、事業の継続に配慮するように定められているが、通達を守った業務をしているなら、A社の売上を差押さえても別の方法でY社が事業を継続できると判断したと、説明できなければならないはずだ。」

 

🐝私の主張の根拠

🍯滞納処分の停止に関する取扱いについて(国税庁通達 事務運営指針)

🍯租税徴収の理論と実務(浅田久治郎著、246ページ)

 

税務署「私は法律に基づいて業務をしているだけです。」

私「では、法律ではない通達は守る必要はないということか?」

税務署「そんなことは言っていません。」

私「ではどのようにY社の事業の継続に配慮したのか?具体的にどのように経営していけば継続できるのか?」

税務署「私は経営コンサルタントではないので答えられません。」

私「それでY社に配慮した税務行政をしていると言えるのか?」

税務署「それは相手の受け止め方次第です。」

 

恥ずかしながら私の会話の進め方もお粗末に過ぎるのですが、機械的な自分の仕事のメンツさえ立てば納税者がどうなろうと知ったことではないという、役人の意識が露骨に表れていると思われませんか?

国は今の経済情勢ではあり得ない高利の延滞税率をかけています。納税者はそれもやむを得ないとして分割にしてほしいと言っているのです。

納税者の生活、事業など知ったことではないという容赦ない取り立てをするより、高利の延滞税をとりながら、納税者に事業を続けてもらい、少しずつでも納税してもらい、少しずつでも未納額を減らしていくようにしていくことが、国にとっても損ではないと思うのですが・・・


消費税の納税義務者になっていた~なぜ早く教えない!

ある個人事業主Aさんは、毎年ご自分で申告されていたのですが、令和元年から消費税を納付しないといけない状況でした。(平成29年の売上が1,000万円を超えていたということですね)

令和4年に税務調査があり、このときに初めて消費税の納税義務のことを指摘され、令和元年から令和3年分までの3年分の消費税をまとめて課税されました。私はこの調査から関与しましたが、調査官に申告を管理する担当部門に確認させると、この調査まで1度もAさんに消費税の納税義務があることを知らせていませんでした。失礼ながらAさんに問題が無いとは言いませんが、税務署がもっと早く知らせてあげれば、3年分まとめて追徴され、延滞税をはじめAさんに必要以上の負担を強いることはなかったと思います。

納税者の売上が1,000万円を下り、消費税を納める必要がなくなったときはそのことを書いた書類を直ぐに送ってきて、納税者に提出させようとするくせに・・・

悪意的にみれば、自分たちの実績のために延滞税も多くなるし、いくらかの期間放っておき、ある程度溜め込ませてから徴収しているのかと言いたくなります。

私の抗議に税務職員は、無表情に「承っておきます。」とだけ言いました。


税務職員の呆れた対応

青色申告の主な特典は、税金を計算するときに一定額を利益から控除できること、赤字が出たときには、翌年以降の一定期間の利益から、その赤字を控除できることです。

最近関与になった個人事業主の方の話ですが、ご自分で開業届を出しに行かれました。対応した税務職員に、従業員を雇う予定はあるかと聞かれ、当面その予定はないと答えると、それでは白色申告でよい言われ、青色申告の手続きはしませんでした。開業のための経費が嵩み、赤字が見込まれましたが、白色申告ではその赤字を翌年以降の利益から控除できません。青色申告は、青色申告するための申請書の提出期限(この期限は絶対に守らなければなりません。この方は税務職員の誤った対応のために期限内に申請書を出せていません。)はありますが、売上高の多寡、給与の支給の有無など一切関係ありません。

このような杜撰な対応をしても、税務職員は責任をとらないのが税務行政の現状です。


調査期間はしっかり確認しましょう

税務職員は、税務調査を行うときには、納税者に、調査をする税金の種類(法人税、所得税、消費税など)、調査をする期間(例えば令和元年~令和3年までの3年間)など、10項目程度の事項を通知しなければなりません。面倒がって杜撰な通知しかしない調査官もいますが、その行為は違法になります。特に調査期間は、確実に確認して下さい。事前通知で3年間と通知しながら、何の説明もせずに、5年や7年遡って調査をしようとする調査官がいるからです。事前通知をした年分以外の調査をするためには、法律で定めれらた理由が必要です。ですから調査前の事前通知で、調査期間をしっかり確認し、調査官が他の年分の調査をしようとしたときは、説明を求め、その理由を明らかにさせなければなりません。


税務調査対策③~調査当日の心掛け

通常の税務調査は午前10時から始まり、税務署から調査先の事業所等までの所要時間にもよるのですが、調査官は午後5時には税務署に戻りたいと思っているようなので、概ね午後4時30分頃に帰る場合がほとんどです。

調査が始まる前に、必ず調査官の身分証明書と質問検査章を確認して下さい。

証明書にはその調査官の所属部門、検査章にはその調査官が調査できる税目(法人税、所得税、消費税など)が記載されています。特に検査章の確認は大切で、例えば調査できる税目が法人税であるのに、社長さん個人の税金(所得税)について調べようとしたときには、調査官に調査する権利は無いことを言わなければなりません。

調査はまず社長さんや事業主さんに対する聞き取りから始まります。社長さんや事業主さんの略歴、事業を興すに至った経緯、主な取引先、売上、仕入等の〆日、入金、支払の方法等について1時間程度聞かれます。「こんなことぐらい、税理士に聞いてくれよ。」と思われる項目もあると思いますが、調査最初の聞き取りは納税者本人にというのが原則ですので、すみませんがご辛抱下さい。

聞き取りで注意して頂きたいことは、

1 聞かれたことについてのみ、できるだけ端的に回答し、余分なことは喋らない。

2 全てのことに直ぐに応えようとせず、分からないことは分からないという。

ということです。

1について、こちらのお伝えの仕方が悪いのか、打合せで言っておいたはずなのに、必要以上に話をされる方がおられます。

例えばですが、

調査官「社長さんご趣味は何ですか?」

社長さん「ゴルフに結構行くね。」

調査官「どれくらいでまわられるのですか?」

社長さん「日によってムラがあるけど、最近100前後が多いな。」

調査官「そうですか。私も好きなんですけど、仕事に関係の無い友達と行くのが楽しいですよね。自分のことで恐縮ですが、この前学生時代からの友達と行ったらリラックスできたせいか、2回もチップインバーディーが出て、本当に気分良かったです。社長さんもそんなことは無いですか?」

社長さん「確かに友達とかの方が楽しい部分はあるかな。」

調査官「やはりお友達とも行かれますか?」

社長さん「それは行くよ。この前の連休中は2回行った。」

という会話があったとすれば、調査官は(よし、その連休中の経費を見てみよう。ゴルフ代が入っていれば事業に関係が無い友達と行ったものとして否認できるな。)と思うわけです。

この例でいえば、「趣味はゴルフ。スコアはいろいろ。友達とは行きたいけどお互い仕事で忙しく、めったに行けない。」程度の回答でいいのです。調査官が否認してきたとき、こちらも簡単には引き下がりませんが、不利になることは確かです。

2ついて、通常直近3年分について調査が行われるのですが、場合によっては3年前のことを聞かれます、きちんとした回答ができなくて当たり前のこともあります。あやふやな回答をするよりも。「分からない。忘れてしまった、できるだけ思いだして、後日回答する。」と応えて頂いた方が良いです。

聞き取りが終われば、最後まで調査に立ち会って頂く必要はありません。特に税理士を雇っておられる場合は税理士に任せ、調査官からの質問事項は、当日の現地調査終了時か後日、税理士を通じてまとめて報告させ、通常の業務を行って頂きたいと思います。長くなってしまい申し訳ありませんがお知らせしておきます。


税務調査対策②~調査当日までにしておくこと。

前回掲載しました無予告調査以外の税務調査は、通常、税理士を雇われている場合はその税理士に、関与税理士がいない場合は納税者本人に、事前に連絡があります。税務署側が調査の希望日を言いますが、無理に合わせる必要は全くありません。ご都合の良い日を決めて頂きたいと思います。そして関与税理士がいる場合は、必ず調査までに打ち合わせをして下さい。税理士は調査の流れや、概ねにしろ、各々の関与先様に応じて調査で問題になりそうな項目の推察はできます。一度申告は終わっているので限界はあるのですが、事前に打ち合わせをすることで、対策ができることもあります。あまり複雑な事例は言えず大変申し訳ないのですが、調査官は役人ですので形式を整えようとするところがあるので、例えば役員給与や関係会社との取引について、これらは税務調査で問題になりやすい項目なのですが、それらの項目の決定経緯を記載した議事録等を作っておくことで、よほど不合理な内容でない限り、あっさり済んでしまうこともあります。また、事前に従業員さんや取引さんと意思疏通をしておいた方が良い事項があることもあります。

更に調査当日までに、少なくとも調査官を入れる予定の部屋の整理をお願いします。決算書に載せていない金融機関や取引先のカレンダー等はありませんか?

また、調査当日はゴミ箱のゴミも処分しておいて下さい。今のところ私は経験ないのですが、ちょっとした隙にゴミ箱を探る調査官もいるようです。無意味に勘繰られないためにもお願いします。ちなみに、ごみ置き場に持って行くまでは、例えゴミでも納税者の所有物です。許可なくゴミを探れば違法行為です。ハッキリ抗議しましょう。


税務調査対策①~税務署の異動が終わり、そろそろ調査の時期です。

税務署は毎年7月に人事異動があり、その7月に年内の調査先を選定します。署内の内部調査から始まり、調査官が納税者のところに赴く臨場調査が本格的に始まるのは、8月の盆明けあたりからですが、早ければ7月に臨場調査が行われこともあります。例年で恐縮ですが、今月から年末にかけて税務調査対策を、シリーズで掲載させて頂きます。

万一、税務調査官が事前通知無く突然やって来た場合、雇っている税理士がいるときは即刻連絡を取り、絶対に事務所内あるいは自宅内に入れてはいけません。簡単に引き下がらない場合は、臨場の目的が任意調査か強制調査かを確認して下さい。国税局の査察でもない限り、九分九厘任意調査です。令状は持っていません。細かな説明は省かせていただきますが、任意調査であるなら、事前通知が無い無予告調査をその場で受けなければならない義務はありません。1度調査官が来た以上調査そのものを無くすことは難しいですが、とことん突っぱねて日を改めさせて下さい。


3月決算法人の方で給与支給が前期より増えた~税額控除をご検討ください

繰り返しになりますが、今年の3月決算法人の申告から、役員を除く年間の支給総額が前期より5パーセント以上増え、かつ1人当たり給与額も増えた場合は、その給与増加額分の10%(この規定適用前の法人税額の20%を限度)を税額から控除できる可能性があります。他に細かい要件もあり、結果として僅かな額しかできないかもしれませんが、法人税を直接減らしますので、県や市に納める住民税も少なくなります。それなりの意味はあると思います。利益が出て給与支給が増えた場合は、当事務所はもちろん、税務署、国税局相談室にぜひお問い合わせ下さい。


増税時代への対応~思いきって経費にしていきませんか?

いよいよ4月から消費税率が上がります。消費税に限らず、所得税や相続税も増税されていきます。繰り返しになりますが、少しでも節税を考えられるなら、以下の事をお願いしたいと思います。

①    僅かでも事業に関係すると思えば経費にする

近年の裁判で、経費にするための要件として、「業務の遂行上必要であること」という判決が出されました。それまでの裁判では、「直接事業に関係する支出」という捉え方がほとんどで、「直接」という言葉が省かれた意味は大きいと思います。少し語弊があるのですが簡単に言いますと、経費にするためには「売上に直結した支出」でなければならなかったものが、「事業に何らかの関連性がある支出」であれば良いということになったということです。

例えば、あまり仕事の繋がりがない知人を居酒屋で奢ったとき、その知人の知り合いに自分の商売の顧客になりそうな人が多ければ、「将来顧客を紹介してくれるかもしれない人への支払い」で、交際費にできる可能性があるということです。もし税務調査で指摘されたとしても、全て否認されることはまずないでしょう。仮に40%を否認されたとしても、60%は節税になるわけです。

自宅で事業をしている場合の事務所部分として経費にした固定資産税などが否認される判決が出されたり(恐らく控訴されます。)経費については非常に複雑なところがあり、節度も必要でしょうが、場合によっては税務署とトコトン喧嘩するつもりで、強気で経費にしていきませんか?

②    領収書が無くても諦めない

つい領収書を貰い忘れたり無くしたり、何かの理由で領収書を貰えなかったりすることもあるでしょう。そのような時もメモで良いので、その支払いをした日付、金額、支払った相手先、簡単な支出の内容(○○行き旅費、○○さんと会食等)を記入して経費として処理しましょう。メモを残すことで、税務署側はその経費を否認するためには、具体的な立証責任を負うことになります。1回1回は僅かな金額かも知れませんが、年間にすると結構な額になるかも知れません。お手数ですがお願いします。